揺りかごから酒場まで☆少額微動隊

岡林リョウの日記☆旅行、歴史・絵画など。

怪物図録・犬神持ち

田中貢太郎「村の怪談」によれば、土佐では多分に差別的意識が反映されていたもののようである。「妬み」「そねみ」といった悪感情や強い念が犬神という動物と化して・・・往々にして無意識のうちに・・・相手の家へ行き祟るという。あるじの家の門戸から出入りしているところを見た、などといった話もあるが、多くは祟られたとされる人からの依頼で、「拝み屋」がサニワを通して「犬神」を召喚し、「誰のもの」なのかを喋らせる。しばしば犬神は折衝を拒み帰ろうとするが何とか説得し、例えば握り飯など、「犬神持ち」の本人へ贈り物をすることで手打ちとする。

本人に犬神持ちの自覚がないこともあり、わけもわからず贈り物を受け取ることもあった。

犬神持ちは眼光に一種独特のものが宿っているともいう。北欧の邪眼思想に近いものだろう。

最近やたらと人から貰い物をしている家を、「犬神持ちだ」と噂することもあったというから厭なものだ。ようはイジメに近い幼稚な考え方とも言えそうである。

「犬神持ち」もしくは「筋(家系)」というのは好まれず婚姻も忌まれた。今風に言えば超能力を持つ家筋とも言えそうだが、その能力ゆえというよりも、恐らく別の意識から冤罪を被せられた家筋だったか、被差別職能集団の出身だったか、「拝み屋商売」の墨付きを得て「合法的に」差別していたということかもしれない。被差別集団というのは一種権威的な存在でもあり(日本独特の社会構造である)特別な技能を伝承し、しばしば庶民よりも幅をきかせていた。

怪物図録・犬神持ち_b0116271_27323.jpg


http://okab.web.infoseek.co.jp/kaibutuzuroku.html
怪物図録(本編)
by r_o_k | 2008-12-04 02:08 | 怪物図録 | Comments(0)

by ryookabayashi