それで殺そうということになり、村民で竹やりやこん棒を使い追い込んでいった。たまたま出くわした藤右衛門が打ち殺し、一件落着となった。七月の昼だった。
まもなく藤右衛門の家が謎の炎上、類焼にいたるほどひどいものとなる。
以来上津具で起こる火事は全て藤右衛門の家が中心になった。落雷火事、ガソリン火事、いずれも七月の昼前後と決まったようになってしまった。
この火事を村では藤右衛門火事と呼ぶようになった。
(田中貢太郎「日本怪談実話」桃源社)

怪物図録(本編)
2008年 11月 28日
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