怪物図録・生笹

大台ヶ原の伯母峰峠の「一本足」として知られる。師走の二十日にはかならず出る。もとは生笹と呼ばれる怪物で、山腹の伯母谷村を頻繁に襲っていた。作物人畜すべて食らった。闇夜に出るので姿には諸説あった。

村が滅びる寸前にある狩人が伝来の宝である火縄銃を持ち出し、山に籠もって数日、なんとか手を負わせたが、本人は帰山後すぐに熱病で祟り殺されだ。

その頃、有馬温泉に四十前後の不審な侍がいた。入浴中はけして他人を入れようとしなかったが、主人がふと覗くと湯おけ一杯に、牛のような全身笹毛の生えた怪物が一本足で立ち、膝までしかない足の傷口を洗っている。湯からあがると主人に身の上を打ち明け、狩人は自分の毒気で死んだろうが、完治したら村ごと黒焦げにしてやる。怖いのは宝銃だけという。主人は手紙を出して村に知らせた。村は鎮守神に先の火縄銃をおさめ生笹避けとした。

さて治って戻ると銃の加護で入れない。

悔しさ余って伯母峰峠へあがり旅人をとって喰うようになった。となると評判が悪い。使えないと困る生活道路でもあり、そこで村人は(どうやったのかは不明だが)交渉をして、師走二十日のみ自由にしていいことにしたという。(「山の伝説と情話」s2募集奇談を再版時に編集、大阪朝日新聞)

「一本だたら」とはこの怪物をいうのだろう。山神(もしくは雪怪)の典型的な姿であるが名前に特徴がある。生きている笹、というと自然神のようにも思え、一本足という姿は生き神=生贄としての「人工畸形」を想起するものでもある。神事と山男の話が絡んだのか、一部昔話化しているがちょっと面白いと思った。

怪物図録(本編)

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by r_o_k | 2008-11-07 02:35 | 怪物図録 | Comments(0)

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