


「京都建仁寺町五条上ル辺に住む木村おたい(17)が去年12月頃上七軒辺より由兵衛(21)とかいう婿を迎えたが、どういうわけか連絡がとれなくなってしまった。おたいはとても憂い、たとえ夫に何か理由があって離ればなれになったとしても、ひとたび夫と定めたお人に操を立てることこそ女の道と、あくまで復縁を願って由兵衛の実家へ行ったところが大阪か大津へ行方知れずだという。びっくりしたおたいは信心する清水観音に詣で、なにとぞ夫の行方が判明し再び連れ添えますよう願いますと朝な夕ないささかも怠り無く一心不乱に祈念していたところ、去る17日午後9時頃いつものように清水寺に参詣し堂宇の前に来たところ、そこに日ごろ慕っていた前夫由兵衛がたたずんでいた。おたいは驚き喜び、おなつかしゅうございます、これもひとえに観音様が憐れんで夫に会わせてくれたのでしょうと夢うつつの心地で嬉し喜んでいたところ、どういうわけか夫の胴体がだんだんと伸びて一丈余りになったので、これは何ごと、と叫んで倒れたところを僧侶が駆けつけて、いろいろ介抱して仔細を聞いたところ、狐狸のしわざということになり早々に帰したというが、「狐狸ャ胴だ」の見出しは無理がある」(湯本豪一編「地方発明治妖怪ニュース」収録より抜粋)
わりと幼妻の一途過ぎる執念が出ていて、清水の境内に実際に出没したと言われている狐狸を例に出すよりも、若い妄念が像を結びあやかしを呼んだ気もする。観音さまも明治喪女の妄念を取り去ることは難しかったようで。
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もしかして海外進出を計画してたりして?
そう言えばだいぶ前に週刊モーニングの四コマ漫画に頭が伸びるものがあったな。
結局そのインパクトが強すぎて次回以降かなり苦しんでいたようで短期で掲載は終わったけどね。
