「肩の中に銭あり」
2007年 08月 31日
「それがしが子供だった時、一日戯れに寛永通宝を口に含んださい、誤って飲み込んでしまった。泣き叫んで取り出そうと様様に骨を折ったが、かなわなかった。子供心に死んでしまうのだと思って悲しかったが、一日二日と何の事もなくて過ぎ行くうちに、いつしか肩に巡り来て、これこの通りここに現われたのだ」
と言った。
そのためかどうか知らないが、彼の首は左のほうに曲がっていた。
~「古今東西逸話文庫」より、羽化生記
じつに江戸らしい話ではある。この本は日清戦争のころにまとめられた旧い本で三冊3000円で買った。時代のあらわれたおそらくは新聞コラムのまとめ本である。