揺りかごから酒場まで☆少額微動隊

岡林リョウの日記☆旅行、歴史・絵画など。

刹那的快楽のための断章

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人間が本当に知覚できる「死」は自分についてのみだ
なぜなら人間は一度しか死なないのだから。
(1999/9記)

***

必要とされない気軽さについて
誰にもあてにされない自由さ。
誰にも相手にされない自由さ。
(1999/9記)

***

酒に酔って人を殴るのはサイアクだとゆうが
酒に酔わずとも人を殴れる者のほうが恐ろしい
(1999/9記)

***

このアスファルトの下には 無数の草の芽が。
突き破れない石板に当たり ひん曲がったまま
もやしのように渦巻く無数の草の芽が。
いつか、剥がしてやりたい
立ち上がるだろう 全ての芽が
いにしえの武蔵野の草原を夢見て
(1999/9記)

***

闇は怖い 無のキャンバスに己がありのままが映し出される
それが怖い
見たくも無い自分
嫌な自分
コンプレックス

それを見るのが怖い 「夢」というものも同じ起因により
発生するのかもしれない
(1999/9記)

***

「色」

全て降り散る。
赤よ!
形の中に己が胸を見よ
青よ!
光を放つ肘から生まれる鸚鵡の仔
黄よ!
洗われたシャツの端から覗く糸屑
黒よ!
永遠の中に我は立ち汝の姿を
汽車の煙のように見る。
黒よ!黒よ!全て!黒よ!
(1999/11記)

***

「疑問」

想えば臭を感じる。
前歯、そう前歯だ。
其の本の表紙にある三角形は。
何故上を見ている。
神秘の肉のうちに蠢く青虫の群れよ
仔でありながら愛でられる事を拒絶する。
一体に其の本の表紙の裏には何が。
忌まわしい過去の記憶の群れが
今しも突び出て来たる。
スープの皿は未だか。
(1999/11記)

***

「好きなもの」

春の陽だまりの匂いが好き
夏の黄昏の照り返しが好き
秋の遠い空が好き
冬の清潔な風が好き
そうして過ぎ行く一年が嫌い
(2004/6記)

***

「残酷な雨」

いったいにこの現実の死という不安は
左手から零れ落ちる涙の雫。
蝿のたかる腐れた肉の塊に降り注ぐ。
何故に美は美たるものか。
いつ返り見るか知れぬ醜さを背負っている。
不安な安定の中で最も主張することのできる価値。
全てはやがて美ではない物と化し
永遠という白い世界に昇ることはできぬ。
呪われた人々よ、祈るがよい。
(1999/11/23記)

***

「断章」

市中は瘴気に満ちている
益々暗くなる視界その片隅でひたすら何かを叫び続ける女がいる
土の中で俺は生まれた
重く、深く
泥土に宿った魂は破裂する泡から飛び散った
不定形な煙のようになった俺は薄汚れた街に降り立つ
市中は瘴気に満ちている
益々暗くなる視界その片隅でひたすら何かを叫び続ける女がいる
白熱灯の灯が揺れている

薬の中に蒼い粉が混ざるようになったのは秋風の冷たく感じられるようになったころのことだった。薄く透明な感じのする色。
綺麗だなあ。

ぼつぼつとした雨が屋根を打つ音が聞こえる。耳が澄んできて、そんなとき僕はよく「賭け」をする。答えは空から降ってくる。他愛の無い遊び。

澄んだ空の下で思い切り深呼吸がしてみたい
それもはや叶わぬ夢か

「過ぎ去りしは我が春
ここに来たりては唯眠るのみ」

(2001記)

***

「お別れ」

さよならと言えた
もう幾年も言えずに
やっと、やっと口にした
薄やいだ雲のしじまに
確かに見えたよ、懐かしい
ほのかに笑っていて
かすかにうなづいて

高く上がった赤い風船
精霊船(ショーロブネ)のようで
とおく深く澄んだ碧空
残る小さな雲のかたまり
ゆっくり ゆっくり青の海に
消えていった
消えていった

さよならと言えた
もう幾年も言えずに
やっと、やっと口にして
青い空いつか紅(くれない)
忘れない、懐かしい
懐かしい人
(2000記)

***

「月のかけら」

夜の岸辺で 月を見ていた
ワンカップ片手に 月を見ていた
おやじたちが照らす釣り糸
若者たちが鳴らす花火
俺はひとり 岸辺に立ち
月を見ていた

俺はよいよい どれどれで
たんたん ゆうゆう ごうごうと
流れゆく みにくい水を見る
無数のヤイバ 浮いては沈み 沈んでは浮き
突き刺しては去り 突き刺しては去る
浄夜は惨めに切り裂かれ
俺の心も切り裂いた

俺の野獣が月に吠える
この世界を壊せと
俺の狂暴が拳となって
あの女々しい月を砕く

月のかけらが 今俺の手に
月のかけらが 今俺の手に

人は皆 弱いもの
群れることで 気を紛らせて
楽しかった日々 嬉しかった日々
ふと気が付けば 泥船の中
たった一人で 溺れっぱなし
指差し わらう
あいつは誰だ
俺は 結局置き去りで
俺が しこたま飲んだのは
水か
それとも酒なのか

どうでもいい どうでも構わない
一人でも戦はできる
一人でも戦える

俺の野獣が月に吠える
この世界を壊せと
俺の狂暴が拳となって
あの女々しい月を砕く

月のかけらが 今俺の手に
月のかけらが 今俺の手に
(2000記)

***

雨の日に窓をあけていると あぶないよ
網戸にしても 入ってくるよ
小虫の大群
網戸の目より 小さいんだもん
ぷーん ぷーんと
うるさいよ
手元に停まって 気持ち悪いよ
ごそごそ這って 気色悪いよ
袋菓子 たかられてるよ
もういやだ こんな生活
ハエトリグモくん まかせたよ
ダニも小虫も いっちゃってください
頼りになるな 黒い奴
・・・
クモが友達
さびしい夜
(2004/4記)

***

ああ ティシュー
汝は何故に 柔らかく そっと我が身を 包むのか
ああ ティシュー
いい ティシュー
スコッティ カシミア 220が いいみたい
~ランボー「我が右手、孤独の友人よ」

・・・うそ。
(2004/4記)
by r_o_k | 2007-07-20 17:37 | Comments(0)

by ryookabayashi