揺りかごから酒場まで☆少額微動隊

岡林リョウの日記☆Twitterまとめ日記。過去旅行の整理、歴史・絵画など。

生きるための

おっちゃんはなんで人を斬るの

・・・

自分がいきのこるためさ

湯三河一門を弊したところに子供がひとり顕れた。

このひとたちはみんなおっちゃんをころそうとしていたの

そうだ

ぼろぼろの刃を研ぎ直す算段をしている。血油が月あかりに映えて不気味に光っている。

おっちゃんは疲れていないな

・・・

息がきれてない。よわい奴等だったんじゃないか。

みなごろしにしなくてもよかったんじゃないの

おかしなことを言う小僧だ。小僧の言うことにいちいち答えるべくもなく無言で裾を払う。刀の根元でぐきりと首骨を掻き切ったときの、湿った生臭い匂いが滴っている。

おっちゃんは、人をころすのがすきなの

思わず眉間が寄った。無礼打ちにしてもよい。だが相手は汚い麻布を纏った小僧である。刀の汚れにもなろう。

生き残る為だ。

目を合わせず懐紙で刀をゆっくり拭う。

生きること、それが人を弊すことになる。そういう時代なのじゃ。

それなら、生きるために、人をころすことはいいことなの

ほう。

中仲面白い小僧だ。少し教訓めいたことでも言ってやろう。

そのとおり。生きるためには何をしても構わぬ。それが今の世の常じゃ。

大体、自分が生きなくして、どうして人を生かすことができよう!


・・・じゃ、

いただきまーす!!

「妖怪首かじり」はぱくりと大きな口を開けると喉元めがけてとびかかってきた。刀を振り上げる隙もなく首筋が「ぷちり」と音をたて、剣豪をめざした男も他の同輩同じく地に伏した。けらけらとわらう「首かじり」は吐き捨てるように言った。

生きるために人をころすことは、いいことだっていったよね

牙立った口元から生血を垂らし、片腕に男の髻を引っ掴んで、ずる、ずるとひきずっていく。

墓地には「家族」が腹を空かせて待っている。

2000/11/26(sun)

生きるための_b0116271_21184588.jpg

by r_o_k | 2007-07-17 21:18 | Comments(0)
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