「見ず子」
2007年 07月 16日
かんがえたけど
もう百ねん
かんがえましょう
た く さ ん
あるいたけど
もう百里まで
あるきましょう
あ な た の
まだ見ぬ顔にわたしは
泣き腫れたまなざししか
送れないけど
あ な た の
確かな重みはわたしに
痛みと思いでをくれる
「船頭さんが待ってる」
さ よ な ら
いとしい子
いつかどこかの
温かな家から
たしかにあなたの
声がきこえたら
わ た し は
さびしげに微笑んで
花を一輪置くでしょう
「ほうい、ほう」
舟はいきます
白い海へ
しばし眠ろう
涙の海で
ほんとうに
さよなら。