揺りかごから酒場まで☆少額微動隊

岡林リョウの日記☆Twitterまとめ日記。過去旅行の整理、歴史・絵画など。

【古今東西珍奇伝承】飴買い幽霊(子育て幽霊)【うそっぽい】

おおまかには子を抱えた産死女うぶめの類。
死んだ孕女が土中で赤ん坊を産み落とし、乳のかわりに飴を買いに来る。紙銭に不審に思った飴屋が赤ん坊の泣き声のもとを探し発見する。親の恩を示す説話から子は高僧になったという英雄譚的な発展もする。
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夷堅志を原話とすると推測されている。赤子を抱えた女が餅を買いに来るのを、裾に赤い糸をつけてたどると墓に行きつき、遺族が掘り返して赤子の生誕と死女の生けるが如くを確認する。女は火葬された。

糸をたどる話は蛇神交婚譚でイヤというほど出てくる。死後分娩(時間のたった遺体が子の遺体を死後変化で押し出すことをいう)がイメージの原型になっているかもしれない。このようなことを妊娠中の死女をそのまま埋めたための異変ととらえることもできる。「身二つ」にして埋めるという習俗は(そのままでは母親の念が残るため)祟らないように行うともいう。ただし既に息のない子供の供養の話になるので、この中国の話の母体をわざわざ火葬にすることとは直接関係はないだろう。南宋時代なのでわからないが死しても姿をとどめる遺体は吸血鬼になり家に祟るという東欧のような話は今も残る。餅の意味については深堀りしない。18世紀成立の沖縄本島のムーチー(鬼餅)伝承とは関係ないだろう。

死んだ女の出産ははるかに古い仏教説話に源があるらしい。飴屋(餅屋)を現世、墓をあの世としてヨモツヒラサカにあてはめる話がWikipediaにあるが証明する素材を持たない。

Wikipediaには高僧生誕にからめた飴買い幽霊を以下列挙している。

茨城県頭白上人(香取市西蔵院入定伝承)殺された母に育てられ仇を討つなどした
鳥取県、大分県通幻寂霊14世紀総持寺管主
島根県大厳 江戸後期
福岡県明光寺の伝承 鉄相禅師 江戸中期
静岡県日観聖人 子育て飴が作られている 江戸中期

その他代表的なもの・・・
京都東山六道珍皇寺 最も有名で飴屋も健在。戦国末期に遡る。
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金沢西方寺 飴買い地蔵(地蔵が不憫に思い子に飴を買い与えていた)地蔵を欠いて煎じて飲むと子供の病が治ると藩主以下信じた、現存

長崎赤子塚と光源寺の幽霊井戸など こちらも有名、幽霊が赤子の発見に感謝し枯れずの井戸を教えた 掛け軸と木像が有名、縁日に開帳、飴も限定で出る
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福岡安国寺 結局子も死んでしまう。親子の別の墓が現存。江戸前期

福島には伊達政宗に取り立てられ改名した四十九院氏の話としてあり、出身の可能性のある伊賀の伝承を持ってきたかもしれない

東京二本榎の幽霊地蔵 江戸時代、屋敷街・寺町だった高輪の商店街に飴屋があった。毎夜来る母子をつけると光福寺の幽霊地蔵前で消え、供養すると出なくなった。品川沖からあがった地蔵で母親に代わり子育てをした話もあって、子安地蔵としてまつられた・・・という話だったが(別項参照)幽霊地蔵が芝浜からここに来たのは維新後の話で完全な創作らしい。
写真追加:港区三田を行くシリーズ(2)「幽霊地蔵」※高輪築堤石積確認、お台場追記、八ツ山橋、鉄路敷設写真、幽霊通った飴屋のあった二本榎・地蔵元位置の芝浜と東海道沿いに海に通された鉄路の浮世絵他を追記_b0116271_14173494.jpg

伝承の概観とは別に、実際に謎の子供が残る話の起源は普通考えて以下でしょう。

婚外子(捨て子、僧侶の子含む)
飴屋の宣伝

もちろん説話のために創作されたかもしれない。
wikipediaばんざい。

だが、もっとも大きい理由は「怪談」だろう。

~榊の宿で芝居興行があった。松本小太郎なる俳優、ばくち打ちの家に泊まったが、いたって貧乏な家と見える。とある月夜に雨の薄気味悪い晩亭主は留守で心さみしく一人留守番していると、後ろの墓場からしきりに子守唄が聞こえてくる。小太郎はここらで子守唄の聞こえるわけはない、何だろうと後ろの戸を細目にあけて覗こうとすると、壁の割れ目から細い手がのびて

そこを覗いてはいけない
いけない

戸を閉めてするすると戻り消えるうちに頭から水を浴びせられたようだった。そのうち亭主が帰ってきたので、こうこういうことがあったと話すと、

それはこないだ産で死んだ女房だ、弔いを出す銭もありはしないから裏の卵塔場へ埋めておいたんだが、時々子守唄が聞こえる

と平気で答える。小太郎は翌日早々宿替えしたという(坂野道人)
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抜粋編
~幕末明治百物語 国書刊行会版

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子は大事。

by r_o_k | 2021-03-26 16:47 | 不思議 | Comments(0)
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