

広重の東都名所に見える虹がはっきり反転(赤が下)しているのがどうにも気になって、虹というのは皆魅力に感じるようでネットでまとめ記事は見かけるけど(白虹は別として)構造に言及したものがない。蕭白始め近代まで反転例は0に近い。



後年の広重は様式化された構図の中に普通の配列の虹を描きこんでいる。東都名所よりぼんやりして見える。狭い範囲に五色も並べるので退色で消えたり当初どの程度色の境界を明確にしていたかわかんないのは看過。

国芳はダイナミックな構図に虹を使う。一景は明治に入っているのでカラフル。古い西洋式の例として司馬江漢のものを一応載せたが、白黒で不明。応挙など肉筆の大家、および近代以降は正しいものばかりだ。肉筆は幻想傾向が強いように感じる。応挙はググれば一例が出ます。



ぐっと下って巴水はさかんに描いている。同時代の新版画同様かなりあざとい形で太い虹を他でも夏のアイテムとして描きこんでる。

虹の足元を描くものは珍しくないですが日本の洋風木版画でこれをやったのはやはり清親が最初では。

。。。洋画含め逆の虹は珍妙です。北斎は誤りに気づき、後摺りで虹ごと削除したのかな?鏡絵だから虹が逆になる、ってこともないよなあ(北斎のこれを引いたのは司馬江漢風の洋風銅版画ということで)。