怪物図録:沖縄写真書込系:アカマタ、ミルク洞窟の赤牛、識名坂の遺念火、焼金、アカカナジャー他

怪物図録(写真書込)2:沖縄

アカマタ、クロマタ、シロマタ
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八重山特有の来訪神で豊年祭の二日目に現れる。アカマタ、クロマタの男女もしくは子親の二人組、原型の西表島古見では後者に別の子のシロマタが加わる。猛々しい仮面に木の葉を纏い頭に稲穂、浜辺に現れると豊年、現れないと良くないとされた。山で行方不明になった子が蘇り山から来る神となったともいう。すっかり現れなくなってのち村人がその役を担うようになったのが今の祭であり、しきたりによって二人は御嶽より浜に出て祭を始め、石垣島宮良のように特定の家々を回るようなことをするらしいが、大元の世持神(古見での呼称)は集落に寄らず近くの御嶽まで来て戻ってしまう(形を取る)。理由は不明。そもそも古見は3つの集落が競艇を行うなど賑やかに行っていたが統廃合によりこの祭のみ残っている。石垣島、小浜島、新城島(パナリのうち上地島)、そして西表島の特定集落に残る祭祀だが、場所により完全秘祭とされ、少なくとも物見観光や撮影取材は激しく威圧的に禁じられている。パナリ(上地島)と西表島はかつて暴力的な話も伝わるが、秘密ということで如何わしい噂をたてられたことも理由にはあるようだ。穏やかな石垣島でさえ集落外の者は行動を制限される。恐らく普段は殆ど住民のいない上地島(西表島大原から近いためそちらに住む人もいるが多くは石垣島等に常在)が最も有名で盛況であり、信仰装置も綺麗に整備管理されている。かなり昔にタブロイド紙カメラマンがスクープ写真を載せ非常に問題となり、ぼかしのないものはネットからもほとんど消し去られている。ちなみに石原慎太郎の「秘祭」がここのことと言われたために、奇祭イメージを植え付けられたのである。鹿児島県甑島の隠れキリシタン集落も通俗小説で差別的呼称とイメージを植え付けられたが、それの現代版のような形だ。
念の為、この図は敢えて似せていない(一応イメージはシロマタ(白マタ)、実際の扮装とも違えているのはこれは神に似せた住民ではなく「元の神」を想定したからです)。もっと巨大で猛っているようだ。氏子に相当する家を訪れる様子はナマハゲという比喩もなされる。石垣島は平場の村落の中を旗を立てて練り歩き、ジャングルの奥から現れまた奥にて何かを行うといわれる上地島や西表島のものと姿は似るも、異なるイメージである。また神によって形が違う所もある。小浜島は地下から現れるとされ宮古島のパーントゥのようで、あまり知られてもおらず特に他とは違うイメージがある。写真の背景に使ったのは新城島は下地島(パナリの片割れ)の写真で、集落は消滅し元島民が時折祀りにくるだけだが、ここでも赤マタ神事は行われていた(この御嶽ではない)。来訪神なのでニライカナイ信仰からくる、つまり穴の中や海の向こうから現れる「てい」をとるが、目的と名称以外に、各種祭祀の呼び名ややり方は4箇所で全く異なるようだ。言わずと知れた伝説の秘祭は上地島だが、下地島とは違い殆どの元島民とその家族、仲間が船会社より出る島民限定臨時便でみっしり集まり賑わう(普段も通常便は無く、寄る船であっても島民の紹介が無いと舟券を売らないため宿の無い現在、日帰りツアーで往復するしかない)。現れる神も4神と最も多く、学者が僅かに入り込んで取材してはいるが、直接的な表現を避けている。憶測を呼ぶところだ。外国人まで訪れ、御嶽に狼藉を働いたと聞いたのもかなり前だ。昔はネットにレポートを書く者までいた。宿が無くなった理由かもしれない。
秘祭とされるのは祖先からの伝承を厳しく護るためというのが第一と思う。琉球王府による宗教弾圧からの秘密結社化が指摘されてはいるが現代でも続くのはその頃からの伝統、というわけでもなさそうで純粋な先祖伝来の決めごとを護ろうとする頑なさを感じる。祭は観光化したら観光ファーストになる、宮古島のパーントゥ神事然り。上地島も近年は友人ということにして一部元島民がかなり部外者を入れていると聞いた(逆に期待されるようなオカルト的なことや猟奇的なことは無いということでもあろう)。録音撮影写生は論外だが。
かつて上地島は祭を守るために暴力も辞さず、当日は酒も煽って危険な空気になることもあり、奇怪な噂も生んだし想像もされた。私は考古学者が前方後円墳を見つけて報告しようとしたところ崖から突き落とされ行方不明になったと数十年前聞いた。上地島に泊まろうとしたら西表島大原から来る元島民の民宿が引き払ってしまい渡ることができず断念した(当時。もっと前はヤマハリゾートが宿と展望台を整備していたが撤退廃墟になっている)。いっぽう、個人所有で昔は牧場であり(サイロが黒島からも見える)ワケアリの人や稼ぎたい人が宿舎に泊まって営まれていたが、今はそれすらない下地島がどうだったのか、、その寂しさをこめて筆を置く。


ミルク洞窟の赤牛

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宮古群島下地島の通り池近くミルク洞窟又はプトゥキ洞窟(仏形石筍が2つある)。ここは竜宮神がおり湧水を飲むなら褒めなければならない。古い木泊村に敵兵が来た時、小さな赤牛が飛び出て顎髭を掴んだ全員を金縛りにし洞窟に吸い込んだ。百年前、洞窟前に座る赤牛を捕まえ食べてしまった者は、皆伝染病で死んだ。 (続・ぴるます話、佐渡山安公、かたりべ出版h3)

調べたが資料が出てこない。通り池は海中洞窟を持つため脇の浅瀬から望める場所にあるだろうか。伊良部島に同名の洞窟(御嶽)が砂浜に面してあり崇敬を集めている。小さなミロク洞窟(御嶽)という所もある。写し方が違うだけで同一かも。前掲写真は近くの鍋底。全国の龍が集まり出ると言う人がいた。

木泊村は今の佐和田にあったという極めて古い最初の村落とされ、近世前まで遡るかもしれない(近世後期には明和の大津波による村落の消滅伝承(これも痕跡がないので疑問符付きだそうだが)が帯岩〜通り池辺に存在)。青の洞窟の断崖の先に船を隠せる大洞窟があり、二手の右側、龍穴は拝所で立入禁止、湧水があり飲める。近くに仏像のような石筍が3本並ぶ洞窟もあり、話には近いが場所が違う(フェイクの可能性を加味しても船でしか行けない場所ではない)。ここは砲弾がいくつか散乱し戦跡の一つと思われる。上にはトーチカ跡の穴もあるという。

赤牛は水神として全国的に聞かれる話で妙にリアルな生き物と描かれることもある。何か暗示しているのか。文字通り赤いわけではないのかもしれない。単なる主、暴れる怪物、いろいろ。ふしぎ。

焼金
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1952年頃宮古群島の或る御嶽の山に深夜三人の男が通り掛かると青白い光が渦を巻き何かが山の様に舞っている。戦中のお札だ!となり我先に拾う。朝方見ると冥銭の燃えかす。一人はムヌスに伺い絶対受け取れないと豚を潰し命乞い願いした。残り二人は迷信とし那覇へ仕入に出たがそのまま遭難したという。

ムヌス=物知り=ユタ、命乞い願い=ンヌツブーニガイ(まだあの世へ連れてかないでくれという豚一頭焼いて供える大掛かりな儀式)、細部省略しています。冥銭はウチカビ(打紙)のことでここでは焼紙と呼んでいる。あの世への献上品として積むこともある。地獄の沙汰も金次第。(ぴるます話、佐渡山安公h5)

   写真は宮古島大和井。

識名坂の遺念火

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写真が皆無だったので新聞使用すいません💧識名坂の遺念火。首里からの金城町の下り坂をおりて向かい側の上りの急坂。ここは古い真珠道という石畳の一部だった(最近発掘されている)。昔仲睦まじい夫婦が商売をして身を立てていた。その幸せな様子を妬んだ者が男に妻の不貞を吹き込む。嘆いた男は坂下の識名川に身を投げた。妻は嘆きあとを追った。程なく識名坂を川に向かう2つの人魂が見えるようになった。これを遺念火と呼んだ。遺念火じたいは火の玉の一般名詞。

シノーリ
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久米三十六姓の血を引く或る家に戦前から憑いている、黒い石炭のような塊。ガジュマルと、離れにいるが人に憑くと祓うとき口から飛び出ることもある。不幸に伴い出るときもあり、何でもないときに頭上に現れ手足が生えて逃げる姿も目撃された。大陸から連れてきたといい、キジムナーではない。謎の多い半動物。呼び名は人により少しブレがあるらしい。強いて言えば大根のような黒いタール状の塊の目撃が他所で報告されている。〜小原猛「沖縄の怖い話弐」

久米村はいまの那覇中心部あたり。継続的に琉球へ移住し商売した中国南部の人々を総称して三十六姓といい、どの姓かは検索してみれば出るが今もその姓であるとは限らんです。旧辻原墓地の中心になっていたとも。三十六歌仙のように語呂の良い数に過ぎず「たくさん」の意味。
写真は久米島

炙煩(あぶりわずらい)
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球陽に載っている古い怪異で、粟国島の荒れ野に紅い火の玉が目撃されることがあった。以降、人や家畜が次々と病に倒れ亡くなった。原因不明のまま、あぶりわずらい、という名前のみが残る。疫神ともとれるが、「炙り」という言葉が気になる。UFO目撃談に放射線障害を伴うものがあるのだ。。粟国島の風景から想像される。

アカカナジャー

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伊平屋島でいうキジムナー。砂州で繋がった野甫島ではフィーフィーといい洞窟に住み夜、海で光りながら魚をとるなどいうが、タコ嫌い屁嫌いなど典型的な特性も備えている。アカカナジャーは赤い髪というような呼び名からしてももっとキジムナー的で対岸の沖縄本島の本部など、キジムナー(方言多数)の源流的な地域に近いことから古い形が残っているかもしれない。伊平屋島は山深くハブもおり、まだどこかのガマにひそんでいるかもしれない(琉球石灰岩の島ではないから呼び方はガマでいいのかわかんない)。

ヒトシレズコンナトコロニ
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夜の公園で飲んでいると転がってくるものがあった。「人知れず、こんなところに」しわがれた声の主は女の生首が2つ。驚き逃げ出すも古墓のある小山に来て酔い潰れてしまう。夜明け前に目を開けると、周囲に生首が犇めいている。正気を失い警察に保護されたが、警察は生首の喋った言葉を聞き取るとそれきり黙った。
小原猛さん「シマクサラシの夜」h30より

辻原墓地の幽霊

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那覇。今は歓楽街となっている辻原にあった有名な辻原墓地。波上宮も近い鍾乳崖べりに、中世より築かれ始めた一大古墓ゾーンで1700基を越える多様な墓が見られることから戦前はペリーを含む外地の人間にも、海から陸から興味深く観察された。王族墓もあったといい人気のないにも関わらず不気味な話はなく、シーミーのときは賑わった。大きな墓が多かったため戦後区画整理の対象となり、石材は埋め立てなどに使われ、墓の機能自体は識名へと移された。その頃より墓地跡に幽霊の噂がたったという。戦後の大変な時期の開発とはいえ今なら文化財としても重要なものであったはずで、歓楽街にしたのも墓地を鎮める意味があったのかもしれない。子孫のいない古墓の骨は密かに焼かれ粉砕され肥料にされたり、結構そういうことは多いようで、いつのまにかなくなっている墓というのはあるが、ここのものも全部が全部きちんと移されたのかどうか、移されなかった者が迷い出たのかもしれない。話によれば石材は石塀に転用した例もあるという(これはよくある話で寺院の塀に角柱墓など一般的)。


シマクサラシの夜

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新しい写真だとスマホアプリで書くのしんどかった。シマクサラシ民話自体とは別の小原猛さん「シマクサラシの夜」より表題作から。何者かの瘴気に寄り集まってきた者たちの行為が、疫病除儀式を契機に寧ろその力を増すという不条理性、実は内側にいた、本人鎮まっても他の寄り来た者たちは…という後味。


仲西ヘーイ

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場所が違う&長さが違う&石橋じゃない&干潟じゃない&要素不足&手抜きとかゆうな!資料がなかったのと仮アップじゃ(潮渡橋の仲西ヘーイ) いくつか話があるようだが単純に言うとかつて那覇の大きな干潟をのぞむところにあった橋(橋の名前と川は現存)で仲西を呼ばわると異界へ連れ去られるという。付帯して民話や妖怪話が絡むことがある。https://pic.twitter.com/hG5YlNHuXe

よしやチルー
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手の届く場所にある資料が貧弱だったので別件で。よしやチルーさん。19にして琉歌の名手で知られた辻の類尾。想い人あるにも関わらず身請けされそうになり自殺してしまう。その骨を故郷へ運ぶ若衆が休憩のため藁の袋を路傍に掛ける度、歌を詠む声が響き人々を驚かした。埋葬後来た楼主へは恨歌を詠んだ https://pic.twitter.com/qLu7Ddu3vS

耳切坊主
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写真に書き込むのおもしろいんだけど、基本的にスマホ(むかしはガラケー)で無理して書くので、今見ると見苦しすぎるのも散見される。編集失敗するものもある。消えてしまったよ。なのでこれでおしまい。場所が違うとかゆうな。耳切坊主。黒金座主という悪僧が耳を切られて殺されたものが、屋敷の角に立つという。 https://pic.twitter.com/vzUI14cfYw

真玉橋の逆立ち幽霊

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遠景が多くて苦労する。。真玉橋の逆立ち幽霊。石橋の人柱伝説はヤマトの伝承にみられるもので、その一つの芝居を異化輸入したとも言われるが、原型の話は当地にあったのでは。神女が自分のお告げで埋められる因果。逆立ちは冥界を向いて立つ幽的の暗示か。戦前の橋は戦争で失われたが一部発掘された。 逆立ち幽霊は他の土地にもいくつも言い伝えがあり、筋書きにも姿にも幅があるのはやはりまた別の芝居が元になっているせいとも思われる。那覇のど真ん中を通っていた真嘉比道(マカンミチ)の逆立ち幽霊は類型的な話を組み合わせた芝居が元と思われるが元々松島中学校から古島の土手途中のデイゴの木の下に出る逆立ち幽霊の噂を採用したとも。一つ墓のいわゆる飴買い幽霊も逆立ちである。鼻を削いだ幽霊は北の岬に伝わるハナモー(鼻もいだ?)と共通する。これはかつて遊女が操を立てる指切りに似た行為でもあるかもしれない。

https://pic.twitter.com/lgydhSCaos




by r_o_k | 2018-08-17 11:01 | 怪物図録 | Comments(0)

岡林リョウの日記☆フツーのつれづれをフツーに書きたいという変な欲望が囁きました。


by ryookabayashi