冥府の正体〜戦前の琉球怪談(写真追加)

昭和初めの本に琉球怪談があった。うろ覚えの聞き書きだという。〜

夜半、大肝な若者達が墓地に集まって、肝試しをやるといふやうなことから、中で最も强い男が、より掛ってゐた墓の中から髦を摑まれてゐるので、身動きが出來ないと打明けると、外の連中が驚いてその場を逃げ去ってしまふ。
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唯一人あとに殘つた若者は、よん所なく新仏のいふことを聞いて墓にはひる。此のへん彼の地の墓の様子がよく分らぬので確かり受取れないが、何でも幽靈を助けたと言ふよりは、墓の中で蘇生した娘を助け出して、その家に送り届けたが、その緣でニ人が夫婦になる。新枕の夜、新婦が自分の冥府で過した時のこと、卽ち、墓の中であった事柄を一切聞かないやうにと男に約束させる。それならば女房にならうと言ふやうなことだったと思ふ。ところが程經て日數がたつに連れ、男は約定の一件が氣に掛かるものか、冥府でのことを聞きたがり、約束を破棄して何でも聞かせろと毎夜のやうに妻に迫るので、妻は溜息もろとも、「仕方がないからそれではお話するが,誰にも言って貰っては困る。」と念を押し、夫の耳許に口を寄せて、

「実は冥府のことは真くらだった。」

〜類話は内地にもあるものだが、オチの空かしはいかにも沖縄ふうだ。琉球出身の人の語ったことだそうである。

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長尾豊「伝説民話考」六文館s7より

OCRアプリ使用
絵葉書彩色:ニューラルネットワークによる自動色付けに暖色系加工したもの
写真:多良間島

by r_o_k | 2018-04-07 00:14 | 不思議 | Comments(0)

岡林リョウの日記☆フツーのつれづれをフツーに書きたいという変な欲望が囁きました。


by ryookabayashi