
これなんですが。
譜面までついて。
絵はがきです。お察しのとおり浅草オペラ「カルメン」の一節に北原白秋が歌詞をつけた流行歌といってもいい、デカダン風味あふれる酒場の唄です。もちろんビゼーは書いてません。中山晋平の節です。
で、その楽譜がまず目につくのですが、数字譜ですね、下線や点といった記号からして発明されて間もない大正琴の運指等を示しているのは明白です。
あれ。
と思った貴方は大正琴通。ドが1に対照されるはずなのに、ソが1になっている。
じつはこの五線譜間違ってます。あるいはポリトナル(ぜんぶユニゾンの5度で重なる歌と琴の線もありえますが原調が伴奏的であるべき琴になってしまいます)。
1をドと読んで数字だけを追っていけば、そっちのほうが正しいとわかります。
、、、、、えー。イイカゲン。
と思った貴方は超能力者ですこれ、下の歌詞、うそです。
替え歌にしてはまじめなデカダン。でも白秋の、赤い心臓でもあげませうか、という真骨頂は抜けているし、歌詞が韻にとらわれずシャッフルされている。センテンスの最後を赤で統一しているのに無視している。キッスとかしている。そして男の歌になっているのです;女抱きましょうか
風俗を伝えるものにはなっていますが、情報が何一つかかれていないので、これ以上調べることはできませんでした。
浅草オペラに心奪われた宮沢賢治が、無意識のうちに似た出だしを「星めぐりの歌」に(むろん異化して)使っていたと言われる酒場の唄。
どなたか大正琴で、歌ってみてはくれませんでしょうかねえ。
、、、
ダンスしませうか 骨牌切りませうか
ラランラ ラランラ ラララ
赤い酒でも飲みませうか
ピアノ弾きませうか 笛吹きませうか
ラランラ ラランラ ラララ
赤い月でも待ちませうか
闘牛見ませうか 花投げませうか
ラランラ ラランラ ラララ
赤い槍でも振りませうか
女賭けませうか 玉突きませうか
ラランラ ラランラ ラララ
赤い心臓でもあげませうか
さあさ退散けませうか まアだ飲みませうか
ラランラ ラランラ ラララ
赤い橇にでも乗りませうか
~北原白秋「酒場の唄」