死の家
2017年 09月 11日
しかたないけど。
ちいさいころに一回しか行ったことがない。むこうがしょっちゅう来ることはあっても、自分が行ったことはない。
とくに現場はね。
ばたばたと一日すごすことになると思うけど、多分この寒さじゃ風邪ひくな。
殆ど行ったことがない家なのに、二度と行かない家になるんだろうな。
きっと・・・取り壊されるし。
家族って悲しいよね。
近藤ようこさんの漫画にあったけど、家族は解体するものです。再生もするんだけどそれは、生まれ変わるだけであり、古い家族は、最後に残された人がいなくなれば、消えるんです。
子孫がいようがいまいが、今の世の中、老兵は新兵から消え去ることを要求される。血がつながっているのに。
仕方ないんだ。豊かな日本ってのがそういう状況を生んだとしたら、豊かなんだからその代償として甘んじて受け容れるしかないよね。
曽祖父の「蛇の家」も父方祖父の「大正浪漫の家」も母方祖父母の「学者の家」もみんな、ブロックみたいな家やマンションになって、どこぞのよそ者の会社のものになってしまった。
東京は、関東はこうして壊れ続ける。
徳川がこの地に入ったときから、関東は蹂躙され続けた。海は埋められ続け、古い住民は合法的に、いまや自治体や国をあげて追い出され続ける。そうしてはまとめて再開発と称し森ビルが建つようなことが繰り返されていく。
今の職場の周囲は数年前まで古い商店街だった。
遂に立派な木の看板をかかげた文房具屋が、半額処分セールを始め、すべての小さな家々はビルになる。
あした行く家も消える。
人がいても消えるものなのだから、人がいなくなってしまったら、消えて当然・・・というのが、東京という名の「寄せ集めの街」なのです。私がおおきな借金を負うことになっても死守したい家も、結局、仕事次第でどうなるかわからない。
東京は私の田舎だった。
その田舎、私の知っている、生まれ育った東京はもう無い。
だから、先祖の地へ戻ることも考えたりした。しかし仕事がない。先輩たちに強く止められてやめた。私にはもう自分でえがく田舎すら持ち得ない。
・・・諸行無常。しかし、リアルにはその語意どおりなりゆきまかせで消えていくことは余りない。
金と制度と、それを執行する人々によって消える。生活は厳しい。人生は暗く、死もまた暗い。
- 2007年02月13日23:37 mixiサルベージ