江戸怪談 河媼(かわおうな)のこと

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雌野澤の林業者たちが山に入って薪を伐り川へ流して弘前に送るべく、諸所に「塞柵(やらい)」と呼ぶものを作っていたが、番館村の川辺にも一つあった。ここは村の端である河童湾(とろ)という淵を少し避けて造り設けたもので今でもあるだろう。弘化四年八月のことだったか、月が明るい夜にこのやらいの小屋の傍で声がした。 

己が子供らが大変世話になっている、皆々衆に一礼を述べるために来た 

樵たちは驚いて誰だろうとあたりを見回しても影すら見当たらない。その声は老女のものでとてもとても淋しいものであったので、これは話に聞いた河媼というものだろうと震え上がり、寝ることができずに皆起きて火を焚いて夜を明かした。 

里老の話によるとこの河媼というものは昔から番館村の河童湾に住んでいるもので、五、六十年前までは時折里に出て、同じように礼を言うことが度重なったものだから、誰もおかしいと思わなくなっていた。最近は村には来ずただ樵の小屋にのみ五、六度も来ることがあった。食べ物を貪るのでも人を悩ませるのでもなく、一言言い終わればそのまま帰り二度と来ることがないと語った。村市村の子之丞という者の話である。(谷のひびき) 

何に対する礼なのかいっさい記述が無い。おそらく誰も知らないのだろう。

2012年08月02日09:31 mixiサルベージ
(怪物図録「河媼」参照)

by r_o_k | 2017-07-21 17:57 | 不思議

岡林リョウの日記☆フツーのつれづれをフツーに書きたいという変な欲望が囁きました。


by ryookabayashi
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