揺りかごから酒場まで☆少額微動隊

岡林リョウの日記☆Twitterまとめ日記。過去旅行の整理、歴史・絵画など。

江戸怪談 ねこのはなし

江戸怪談 ねこのはなし_b0116271_15075223.jpg
江戸増上寺の脇寺の徳水院に、長いこと飼われていた赤猫があった。ある時、梁の上で鼠を追い回していたところに、何としたことか足を踏み外し、梁の下へ落ち、 

南無三宝!! 

と大声で叫んだところ、人々が聞きつけ、 

これは猫又に違いない。不器用な化け様だ 

と言ったら、それよりいずこへと去って行った。二度と見ることはなかった。元禄年間の事だ。 

* 

江戸中橋牧町の中島五兵衛という者の召仕の五十余歳の下女が、重病にかかったところ、いずこからともなく、老いた猫が来て、枕元に座った。人々、いぶかしく思い打っても打ってもさらに離れない。 

病人が死ぬと同時に、行方もわからず立ち去ってしまった。 

* 

淀の城下の清養院の住持、天和三年の夏に痢病を患い、晩方に便所に行かれようとすると、縁側の切戸を叩き、これこれと呼ぶ声が聞こえた。七八年も飼っていた猫が炬燵の上にいたが、にわかに走り出て、鍵を外すと、外から、大猫が一匹来た。中に入れ、鍵をかけ、炬燵の上に伴って座った。外の猫が言うには、 

今夜納屋町で踊りがある。さあ行こう 

ということだった。すると、 

このところ住持が病みつきなさって、相手をしなければならないから、行くことはできないねえ 

と言う。 

それならば、手拭いを貸せ 

・・・それも住持がひまなくお使いになっているから、だめですよ 

と言って追い返し、元のように鍵をかけた。 

住持はくだんのあらましを窺い見なさっていて、引き返して猫を撫で、 

私は別に相手をしてもらわなくても構わないから、誘いに来たところに早く行け。手拭いもあげるから 

とおっしゃったところ、猫は走り出て、後は二度と帰らなかったと言う。 

神谷養勇軒「新著聞集」

2013年01月17日15:08 mixiサルベージ

by r_o_k | 2017-07-20 15:04 | 不思議 | Comments(0)
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