江戸怪談 怪しげな城と山の鮫のはなし

2013年01月29日17:50

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津軽、東浜の山里小国村の山中に、二重の堀城跡がある。嘉永のはじめ、ここを陸田として開拓したときに大変大きな枯骨を掘り出したが、その骸骨の大きさは馬のようで、目の跡大きく口広く、歯の長さが二寸ばかりで二重に生えていた。骸骨は二斗入りの籠に二個もあったが、全く人の枯骨で手足の骨などとても大きく、ただ一体の骨であった。これを掘った者、馬の骨だろうと鍬を持って掻き乱すと、たちまち倒れ伏したので、一緒の者たちは慌て騒いでこれを助け、目下にこの怪しいものを見ていたく恐れて掘った穴に納めたという。これは石郷岡某なる人が勤番の折に聞いたとして語った。

小国沢目山本村の者がこの二重堀の城跡に来て見ると、板のような石の大小が混ざって多くあった。造作の用にあてようと思い、あくる日馬五六匹をひいてこの所に来たところ、昨日見た石は一片も見当たらない。不思議に思って馬を堀の傍らに放ち、郭の内側をあまねく探したけれども似通ったものは無く、狐に化かされた心地がしてその馬どもを曳いて帰ろうとすると、四足みな鮮血に塗れていた。ぞっとして身の毛が逆立ち、少し時も居るに堪えないため早々に逃れ帰ったと言う。これは嘉永の末年のこと。

また、この山中の川に地元の人が毎年簗をかけて雑魚をとっているが、時々小さな鮫のかかることがある。この鮫を取る時は必ず祟りがあるといって、みな放つという。この川の上流に一つの淵があって、そこに住んでいるものは鰐だと言い伝えがある。淵の名は忘失したと、これもこの石郷岡某氏の語ったことである。

(平尾魯遷「谷の響」)
山の鮫という話でピンとくる人もいるだろう。宮本武蔵絵本でしばしば四足を持つものの「鮫退治」の逸話が出てくる。江戸時代は名称の統一がなされておらず猫と狸も同じと扱われたくらいだが、書きぶりからすると方言などの問題でもなさそうだ。宮本武蔵本とは何か関係があるかもしれない。
(mixiサルベージ)

by r_o_k | 2017-07-19 10:58 | 不思議

岡林リョウの日記☆フツーのつれづれをフツーに書きたいという変な欲望が囁きました。


by ryookabayashi
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