七福神には三つの国の神が入り交ざっているといわれる。インド、中国、そして恵比寿のみ日本というわけだ。国が多いだけにご利益盛りだくさん、もっとも日本において七福神めぐりというのは最初から観光を兼ねた「宗教スタンプラリー」だったそうだ。都七福神は江戸で娯楽化された多くの七福神よりも古いから、必ずしもスタンプラリー的な位置づけではないだろう(から歩いて廻るのも難しいほど分散している)けれども、今見るに、六波羅蜜寺あたりが中心となって観光的盛り上がりを作っているふうなところは否定できない。もちろんネガティブな意味だけで言っているのではない、スタンプラリーであっても楽しくご利益を得られればいいのだ。
1.松ヶ崎大黒天

北山の「法」の字の裾野にある大黒さん。小さく田舎ふうで、本堂内の黒い小さな大黒さんを直接拝むこともできる。
2.赤山禅院





修学院近くにある山中のここは京洛の不思議スポットとして挙げられることも多い。言うまでもない京都の表鬼門封じの寺。寺といってもちょっと変わったいきさつがあって、比叡山延暦寺の塔頭でありながら(閻魔大王である)泰山府君(赤山大明神)をまつる、神仏習合の社となっている。御所の東北の角に猿ケ辻という猿像が置かれた場所があることは有名だが、東北方向にあるこの寺、拝殿の屋根上に呼応するように南を向いた猿像がおかれている。猿は「災いが去る」の掛詞。サンスクリット文字だけで構成される特異な絵馬や、手作りの福禄寿おみくじなど土産物にも事欠かない。福禄寿をまつるが見ることは出来ない。

3.革堂(こうどう)

下御霊神社の南すぐにある。けっこう大きな寺院。巨大な寿老神像は必見。




こちらは下御霊神社。御霊信仰のうちにあるものだが、直接誰かの祟りを鎮める目的で作られたのではないらしい。
4.東寺

毘沙門天をまつる堂が無料で拝める。見ることは出来ない。大黒天などもあるので間違えないように注意。



ここでは桃山時代に作られた夜叉神堂を見ておきたい。雄雌二体の夜叉神像はもともと南大門左右に安置されていたが、通る人が拝まないと祟りをなしたという。教訓的な意味合いもあったのかもしれないが、その後中門の左右に移され、中門がなくなったあとに現在の小堂にひっそりおさめられるようになった。弘法大師の作とされるが、じっさいとても古く、瘴気が感じられる。七福神中で見られる最も不思議なスポットだと思う。

5.六波羅蜜寺




弁財天をまつる。金ぴかの像をすぐ拝める。来るごとに寺勢が上がっているように思う。都七福神の中核でもある。平清盛・あこや塔でも有名。観光バスだとここで特別にお祓いを受けることができる。銭洗い弁天もありなかなか楽しめた。商売気が嫌いな人には向かないが。ここからゑびす神社へは歩いていける。
6.ゑびす神社


京都ゑびす神社、この日はよいよいえびすの縁日でにぎわっていた。像は拝めない。

本殿の向かって左脇の戸を叩く風習がある。恵比寿神は耳が遠く、拝むだけでは願いを聞き届けてもらえないから、本殿を叩いて起こして改めて聞いてもらうのだ。格子ではなく戸を叩くのはマナー。

7.万福寺



黄檗宗の総本山、重要文化財指定だらけの大寺院。布袋尊をまつる。堂々と写真にもとれる。この寺、好きで何度も訪れているが、この日は縁日で無料開放されていた。この寺だけ宇治にあることからちょっと足を伸ばす必要がある。黄檗宗ならではのものがいろいろとある。なんだろう天井にぶらさがってるもの。

以上、七福神めぐりは午後5時にオワリ。そして、今回の落穂拾い旅も終了とあいなりました。おつきあいありがとう。

写真はこちら>flickr