2010/4/20怪物図録「形ち瓢箪のごとくなるもの」
2010年 04月 20日
これは我が父だったものです。
若い頃鳥を刺し網を張りあらゆる殺生をした報いでしょう。俄かに煩いこうなってしまいました。物を食わせてみせましょう。
粥を頭に注ぐと、鳥のくちばしが無数に出て、
「けーっ」
少し鳴き声して、喰った。
病気や職業の差別があった時代のうわさ話とはいえ不気味である。
殺生ものでは、不浄のことをなしたものの子が不自由な身だったが、ふと鳥を描き始めた。まるで生きているようだと評判になるが俄かに煩いつくと、
これはどこそこで撃った鳥
これはあれそれで危めた鳥
ひとつひとつ説明しはじめ、父親いちいち思い当たるに、事切れるまで描き説明し続けた。その画帖がこれだ、と見せられた、という話も印象的だった。