揺りかごから酒場まで☆少額微動隊

岡林リョウの日記☆旅行、歴史・絵画など。

2010/4/20怪物図録「形ち瓢箪のごとくなるもの」

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因果応報の理によって殺生をなした父親の子(たいていは「鳥さし」の子供)が瓢箪のような異形となって生まれた話は、平安の仏教説話の時代からあるが、新著聞集にみえるこの話では上総の妙覚寺門前町の戸籍調べのさい、ある百姓が一人いるかいないかわからないものがいるような、曖昧なことを言うため奉行、問いただしたところ、それではお見せして判断いただきましょうと離れの小屋へ誘う。戸を開くと耳目鼻口すべて無い、瓢箪のようなものが黙然として居た。

これは我が父だったものです。

若い頃鳥を刺し網を張りあらゆる殺生をした報いでしょう。俄かに煩いこうなってしまいました。物を食わせてみせましょう。

粥を頭に注ぐと、鳥のくちばしが無数に出て、

「けーっ」

少し鳴き声して、喰った。


病気や職業の差別があった時代のうわさ話とはいえ不気味である。

殺生ものでは、不浄のことをなしたものの子が不自由な身だったが、ふと鳥を描き始めた。まるで生きているようだと評判になるが俄かに煩いつくと、

これはどこそこで撃った鳥

これはあれそれで危めた鳥

ひとつひとつ説明しはじめ、父親いちいち思い当たるに、事切れるまで描き説明し続けた。その画帖がこれだ、と見せられた、という話も印象的だった。
by r_o_k | 2010-04-20 21:17 | 怪物図録 | Comments(0)

by ryookabayashi