床下の女、狸に魂を奪わるの巻

この原話に狸はまったく出てきません、そうではないかという推測だけです。前に書いた出奔話の自作自演かとも思われますが、それにしては理由が無いのが不可解ではあります。救出された後すぐ衰弱して死ぬというのも何やら、どちらかというと浦島やかくれ里、妖精の国系の話に近い気もするのですが。異界でおいしいものを飲み食いしていたと言うのに、何故人間界の水を掬って飲んでいたのか?敢えて江戸と古イングランドの伝説の似通ったところを示すためにとりあげたり。狸の怖さが現れた話です。

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小倉候の神田明神下の中屋敷に、女隠居が住まれるようになった。そこの下女の卯という者が八月ごろより行方知れずになっていた。どうしたんだろうとすごしていたが、同年十一月の始め、長局の縁の下から手を出して、貝殻で水を掬って飲む者がいた。皆が誰だと言って出てくると奥深く逃げこんでしまう。化生のものに違いないと役人に届けたところ、すぐに人を入れて探すことになった。その結果、縁の下の隅に隠れ居る者を引き出してみたら、八月に失踪した下女だった。髪は乱れ痩せ衰えていた。仔細を尋ねると、若衆三人に仕えられ、日々楽しく過ごしているのだという。縁の下に一人は過ごしにくくも苦しいこともなかった。食事はかわるがわるいろいろなものを持ち来てくれて、毎日好きなものばかり食べ、何一つ不足なものはなかったという。いったいに腑抜けとなってしまい、言葉も定かではなく、ようやく聞きだしたことがそれである。そうとなれば早速家へ知らせるべしと当人も送ったが、程なく死んだという。神田あたりで酒屋を営んでいた者の娘だった。この屋敷には狸が多く、まれにこのようなことがあると言う者があった。思い出せばこの女がいなくなったあと、神仏へのお供え物やしまっておいた食料が自然となくなっていたことがあった。狸がこれを盗んで娘に食わせていたのだろうと噂した。これを聞いた家の女たちはまた狸に見込まれることもあるだろうと殆ど辞めて出て行ってしまった。日々祈祷などいろいろやったものの、化け物が出たというわけでもないため、効果があったかどうかもわからない。ただ気味が悪いだけであった。(「梅翁随筆」著者未詳、巻之一「狸、下女を犯す事」より抄訳)
Commented by kenz_freetibet at 2008-08-18 11:39
そもそも何で狐や狸が人を化かすと言う事になったのだろうね。
犬に似ていてそうではないと言うところから来たのかなぁ。
Commented by 岡林 at 2008-08-18 12:07 x
身近な野獣だったという以上に何か意外な訳がありそうなんですよね。図像が一人歩きして、稲荷社や狸社によっては狐や狸に見えない獣の像が飾られてたりしますが、図像ですらなく文字や言葉面だけ狐狸が一人歩きしていった結果、正体の見えない妖異を俗に狐狸と呼ぶようになったのかなあと思います。原因が明らかになると人は安心するものですし、安心するための装置として狐狸の化かし話が便利に使われたのではないかなあと。今の霊とかオーラとかプラズマとかと同じように。
by r_o_k | 2008-08-17 21:42 | <風流>怪奇漫画落之書 | Comments(2)

岡林リョウ☆フツーのつれづれをフツーに書きたいという変な欲望が囁きました。


by ryookabayashi
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