死んだ男が妖精の国にて

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妖精は死者の世界のものであるという例です。古イングランドでは不審死、突然死は妖精に魅入られ魂を連れ去られたのだと解釈されることがあり、「妖精の国に行ってしまった」と噂されたりした。妖精は古墳や廃墟、古城に住む。すなわち死のイメージが最初からつきまとっている。妖精の踊りに参加した、妖精と結婚した、もしくは妖精の食べ物を食べた者は戻れなくなる。そういった状況は真の死ではなく、魔術師の手を借りて連れ戻すことも可能だとしばしば考えられました。このての話は日本の古事記の挿話やこぶとりじいさん、浦島の話によく似ていて、踊りに参加すると逃げられなくなる、異界に連れ去られると戻れなくなる、戻っても時空をこえた時代になっている、こういった話は他の国でもきかれるものなのでしょうか。東アジアには多かれ少なかれ似た話が分布しては居ますが、遠く離れたイギリス諸島周辺にピンポイントで発生した話と似ているところが不思議ではある。もっとも、大航海時代後世界中の民話は混淆してしまい、アングロサクソンの入植地にケルト系の民話が移入していたら、もう因数分解不可能かもしれない。

・・・ある若者が五月祭の前夜に干し草の山の下で寝ているうち突然死んだ。両親と友達は若者がグラナードの古城の大きな濠の中にある妖精の宮殿に連れ去られたのだと直感した。そこで高名な妖精祈祷師を呼んだ。祈祷師は九日たったら若者を連れ戻すので、その間毎日若者のためにいちばん上等な食べ物と飲み物を濠の近くに供えるよう言った。妖精の食べ物や飲み物を口にして二度と人間界に戻れなくなるのを防ぐためである。そのとおりにしたところ食べ物が毎朝なくなっているので、若者がまだ生きていて、夜毎濠から出てきて食料を持っていっているのがわかった。

九日目、大勢の人の前で妖精祈祷師が術をなした。焚き火をたき粉末を投げ入れると、濃い黒い煙がもくもくとあがった。帽子をとった祈祷師は片手に鍵を持ち「出て来い!」と三回となえた。すると、かたびらに包まれた人の姿がゆっくりと煙の中から現れて、声が聞こえた。「そっとしておいてください。妖精の花嫁と幸せに暮らしています。お父さんもお母さんも、嘆き悲しまないでください。幸運をもたらし、永遠に災いから守ってさしあげます」

若者は消え、煙も薄れ、両親は満足した。祈祷師は多くの報酬を得た。

~ワイルド夫人「アイルランドの妖精伝説」より、ブリッグズ「イギリスの妖精」参照

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Commented by dr-enkaizan at 2008-08-16 21:13
度です、なんか怪奇伝承シリーズがノリノリに面白いですね・・・楽しみです。
 この手の話は、一般に怖がらせようと引きつった写実的挿絵や、やたらペタンディクに基づく理屈が主導の展開とか、漫画記号的こだわった説明的な挿絵がつきますが、ショートに起承転結をつけた漫画としてリズムを持たせているのが新鮮ですね。この突き放した、分かりやすさを兼ね備えた、等身大のできうる手法表現で書かれた質感は、大げさですが(笑)、高橋・諸星両氏とも違う、新しいものと認知されます。
>祈祷師は多くの報酬を得た。
黒い見方ですがイタコの口利きみたいな要素がありますね、死後の世界の人間を現世の人間のコンタクトを真偽は問わす、何らかの体験させることで、幾分取り残された人間の気が和むような役割とでもいうのでしょうか・・。

Commented by r_o_k at 2008-08-17 03:21
凄く綺麗なマンガ絵やCG絵、写実に拘ったものや固定化したイラストレーションな絵だと表現できないんですよね・・・ただ、PCで扱う形式にする以上、圧縮やスキャナ性能などでかなり違った色や線のかんじになってしまうのは仕方ないです。シナリオは書きすぎると理に落ちるので駄目なんですけど、全く無いと何も面白くないのでどうかなあ、と思いますが、一日2時間と決めてるのでなかなか難しいです。とにかく何にしても冗長やフクザツがダイキライなので、簡素に削ぎ落としたかんじが心地いいですねえ。四コマみたいな。。

黒い見方、これは底本でははっきりそう示唆しています。この話自体の心理的矛盾も指摘されており(人間界の食べ物を取りにくるくせに何故妖精界にとどまると言うのか、という・・・絵のほうではここはごまかしましたけど)全ては魔術師の仕掛けた如何様な感じが否めないですね。ほんとケルト系は日本のアニミズムに近いです。イタコです。
by r_o_k | 2008-08-16 17:39 | <風流>怪奇漫画落之書 | Comments(2)

岡林リョウ☆フツーのつれづれをフツーに書きたいという変な欲望が囁きました。


by ryookabayashi
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