幽の連鎖
2008年 07月 02日
昭和十年三月二十三日の東京のとある新聞に、警察署の宿直室に若い女の幽鬼が出るという記事があったからそのまま。恐い恐いおじさんの巣に妖怪が出るという話が持ち上がっている。所は日本橋久松警察署高等係の宿直室、毎夜若い女が夢枕に立って何のかんのと優しい言葉でさびしい宿直員を喜ばすというのだ。事の起こりは最近同署に転勤してきた田中巡査部長が三度も続けて若い女の夢を見たということから。妙なことがあるもんだと同僚に話したところ、そういえば僕も見た、僕も見たといって大騒ぎになったという。何でも関東大震災の時、その部屋に負傷者を収容していろいろ面倒を見たことがあり、そこで息を引き取った若い女もあったので、その霊魂がおとずれて来るのだとまことしやかな説をなす者もあって、同署はその怪談で持ちきりである。夢枕の女は感謝めいたことを言って笑って消えるという。ベッドの向きを変えてもいっこうに効果は無い。さすがの恐いおじさんたちも鬼魅悪がって近く関署長の手で祓ってもらうことになった。(警察の宿直室「日本怪談実話」田中貢太郎より)
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