揺りかごから酒場まで☆少額微動隊

岡林リョウの日記☆旅行、歴史・絵画など。

「スウィーニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師」

バートンらしい汚らわしいけたたましさとデップらしい狂った美学の結晶だったりするが、何せミュージカル(元は演劇)原作なもので・・・変にがんじがらめな感じがする。とくに前半が説明的で入り込めない。やっと殺人を始めたあたりから俄然面白くなる。が、肉食文化の血なまぐさい冗談が好きではない向きは気分を害されることうけあい。もっともこれすら原作がそうなっているだけでバートンはただ絵と演技をつけただけ・・・うーん。切り裂きジャックが跋扈するロンドンが舞台、というところもなんだか安直・・・
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もっと自由にやったらよかったのに。ミュージカルである必要もあったんだろうか。登場人物も消化不良。とくに青年船乗りと娘の恋は「完全に」尻切れトンボで終わってしまう。綺麗な終わり方をする残酷話なので(じつに必然的な終わり方だ)余計な浮ついた要素を入れないほうがいいという判断なのだろうが、古い原作でもあるので、ロメジュリ要素が親しみ易さの導入となっている時代ということを考えると、半端に終わらせるなら全部なくすとかしてもよかった(冒頭の船乗りとの会話もいらない)。音楽は実に素晴らしいがこれはミュージカル版のもので当たり前である。

ちなみに人肉饅頭とか、ぜんぶこの古典原作のパクリです。カニバリズムものの法典を持ち出したところにバートンの造詣深さがある。普通に生活するのには不要な造詣だが。☆一つ半。
Commented by kenz_freetibet at 2008-05-02 23:18
やっぱりさカリオストロのテンポにはどんな映画も太刀打ち無理って感じだね。
とっつぁんの粋なせりふ、実にクサイけどええね。
Commented by 岡林 at 2008-05-02 23:28 x
あの映画はしかしあの時代の空気の中で、あの年令の宮崎先生にしか作りえなかったものかなあとも思います。臭くてもいい、含蓄なんかいらない、素直で変に狙ってもいない。絵も話も見た目じゃなく綺麗なんですよね。。なんか、現代がひどく夢のないギスギスしたものに思えます。
by r_o_k | 2008-05-02 22:17 | 映画 | Comments(2)

by ryookabayashi