現在の「隅田川」と「梅若」その他

前に春日部の「隅田川」史跡について書いたので、現在(というか江戸時代から)史跡として認められている東京の梅若関連史跡と、その近辺のちょっと目にとまるものを。

まずは隅田川西岸の橋場周辺。浅草、今戸の北にあたるこの地域は江戸時代は風光明媚、近年はコアな下町地域だったけど河岸のマンション開発がさかんになったおかげで景観が変化しつつある(西岸にかぎらないけど)。

台東区橋場1丁目近辺は浅芽ケ原でも妙亀尼が入水したという鏡ケ池の所在した地域で(北側にあったというから後述の妙亀塚はまさに池畔にあった)関東大震災で移転した名刹、総泉寺の寺域にあたる。まず関連物件と誤認されやすい采女塚。
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西の清川側、出山寺に所在。吉原も近い地域でもあり、江戸初期に僧侶が17の遊女に入れあげたが、厳しく咎められ自害。それをつたえ聞いた遊女、采女はそれを嘆き鏡が池に身を投げた。人それを哀しく思い塚に埋めた、それが采女塚である。同じ池に身を投じたからといって妙亀尼とは人間も時代も話も違うものです。ほんとうの妙亀塚はすぐそばの園地にあります。ピラミッド状のかなり整備されたもの。
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しかし頂の青石板碑は妙亀尼とは違う出自のものです。
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ちなみに総泉寺の置き土産としては、一丁目の南西辻近くにあるお化け地蔵。有名だけどけっこう地図にはのってない。やはり吉原関連物件とされることもあり、向きが変わる、傘が動くというのは酔客の悪戯とも言われた。haunted jizouという英文の説明がなんか可笑しい。
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北側、明治通り近くの橋場二丁目21番地には平賀源内の墓。なぜかこのお墓だけ板橋に移築されませんでした。
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白髭橋をわたり荒川と隅田川に挟まれた大きな洲の頭にあたる鐘ケ淵近辺に入る。隅田川が大きく西に蛇行し、東の荒川との間に旧綾瀬川がある。もともと隅田川自体が荒川といった。鐘ケ淵は舟の難所で、舟から落ちた鐘が水底にあるという伝説からその名がついた。
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洲には戦後まで舟の目印となっていた自然の森が残っていたけれど、今は都営住宅と高速にすっかり景観を変えられてしまった堤通二丁目あたり、隅田川沿いにまず水神社。これも100メートル移築されているそうだが、元はこの地域の総鎮守で、江戸時代には海(汽水)と川の境目でいわば玄関守のような役割を果たしていた。ここが面白いのは狛犬が亀なこと。亀というよりガメラ。
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その北の木母寺も都営住宅にどかされ川側に移築され、非常に現代的な建築になっている。音曲に霊験あらたか、それもそのはずここが、妙亀塚と対をなす稚児、梅若塚(若宮塚)のある寺である。現在の寺域に旧覆堂の保存庫と並んで鎮座している。火山岩の塊が露座しているからちょっと奇妙に見えるが、戦災で砲弾の跡が痛々しい覆堂の中にあったものである。
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宇賀神のなかなか立派な像もある。
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妙なものと誤認してはいけない。
都営住宅9号棟がもともとの寺の場所である。裏側に梅若公園という児童遊園が小さくあるが、そこに元梅若塚の場所がある。
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もいっかい西に渡って蛇行する隅田川の南側、南千住に。そこに「千住の歯神」山王清兵衛の祠がある。歯痛の余り切腹した武士が遺言によって祀られたもので、近隣の日枝神社から山王の頭語を付け加えられている。歯痛で詣でて霊験あれば錨を咥えた女の絵馬を納するという。
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東北の玄関口、芭蕉も立った千住大橋北むこうに橋戸稲荷があるが、ここの鏝絵は伊豆長八の手によるといわれる。保存がよく、長八作にしてはシンプルなところが逆に美しい。※レプリカらしい。9月の15日近く日曜の祭礼、ほか年に2日、土蔵造りの本殿扉内側の本物が公開されるそう。
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で、千住宿に近づく、辻に高札場を見ておしまい。
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さすがに春日部よりもダイナミックでスケールの大きな川のさまが見られるが、逆に中世にはこんなところで人々が営みを続けられただろうかとも思う。春日部は宿場の数でいうと千住から二つ目くらいか。歩いたことは無いけれど。
by r_o_k | 2008-02-26 20:50 | 旅行 | Comments(0)

岡林リョウ☆フツーのつれづれをフツーに書きたいという変な欲望が囁きました。


by ryookabayashi
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