たくさんの腕がある
何ひとつ手にすることはできない
腕がたくさんあったって
足は二本しかないのだから
ベレイ帽が頚をもたげ、物欲しげに
すぐ先の路に散らばる
金貨を見つめるだけ
哀れな愚者よ
二本の足を三回動かすだけで
六つの手に十二の金貨を握ることができるのに
愚者は言う
金貨を握ったところで
小麦粉は手に入らない
愚者よ知れ
二本の足を四回動かすだけで
もう粉屋の店先だ
二十四の粉袋が手に入ろう
愚者は言う
六本の腕で抱えきれない
パンを焼くには多過ぎる
さようなら旅の人
ここに六本の腕の男がいたことを伝えてくれ
愚者よ
何を伝えればいいのだ?