揺りかごから酒場まで☆少額微動隊

岡林リョウの日記☆旅行、歴史・絵画など。

2008/12/23怪物図録・四隅小僧

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文政年間の文献に見られる怪異で、四隅の怪(前に描いたシナリオ付らくがき「お部屋さま」参照)と言われるものに座敷わらしの姿を投影したものか。余りちゃんと調べあげた文献にあたらないのだが(私自身は江戸時代の東北の随筆録で見た気がする)、座敷わらしの話自体はよく言われる明治時代以降イメージの固まった「妖怪」ではなく、古い伝承かと思う。

しかし子供ではなく女中連れの姫であったり貧乏神を彷彿とさせる老人だったり、どちらかといえば「カナダマ」のような漂泊する福神のイメージのほうが強く、気まぐれな自然神の末裔であろうし、ひょっとすると世俗的な成功を願う民間信仰と、祟り神を含むワラシ神信仰(言うまでも無く水子や間引きされた子・・・子供は神のうちとされ人間扱いされていなかったがための因習でもある・・・の霊供養が原型となっているが、被差別集落の子など「違う社会に属する子供」であった可能性もあり、河童や山童などに分化していったものと同じだろう)の混淆が生み出したものだろう。座敷わらしには固有名詞が語られることもあるが、直接的にその人格が「成った」ものというより、屋敷神が独立して大狐社になるが如く、信仰の高まりによっていろいろな付帯的要素(いろいろな人の重なる願いや思い)が本体を膨らませ大きくしていったものではないかなあと思う。これは実際にオカルト的な意味も含む推測。

四隅の怪自体は因習とは関係なく今でも語られる。「隅」は怪異の出現場所としては代表的なものの一つで、個人的に外界における「辻」と同等の機能を有する「境界」としての装置だと思う。西欧の呪術的なものにも「隅」に何かを出現させるものがあったような覚えがあるが・・・いずれ、うす暗い部屋で天井の隅を見つめていると、何かしら見えてくる気がするものである。

かたい・・・w

http://okab.web.infoseek.co.jp/kaibutuzuroku.html
怪物図録(本編)
by r_o_k | 2008-12-23 11:22 | 怪物図録 | Comments(0)

by ryookabayashi